2004年4月25日

秘密の花園へ

秘密の花園・フライフィッシング

通勤途中、造り酒屋にある大木の山藤が満開だなと気づいたのが先週半ばでした。この藤が満開になってから1週間もすれば山の藤も咲き誇り渓魚たちは盛んに動き始めます。今年の少雨は気になりますがそろそろ上鹿川へ行かなければなりません。そう心に決めていました。

昨日子どもと名乗る追いはぎに遭い、有り金全部を盗られてしまいました。上鹿川へ行こうと思っていましたがあきらめるしかありません。昨日一日毛鉤を巻いていました、新しいパターンを試そうと渓へ行くことにします。どこへ行こうかと悩みましたが、新しいパターンは小さな白泡へ放り込むことを主題にしていますのでそんな渓にしようと決めました。朝早く出発し、渓の入り口に到着すると射干(著莪)の花が満開です、近所には山藤も満開です。予想どおりの季節に思わずニンマリします、水は少ないようですが何とかなるでしょう。でも、赤い軽4駆が止まっています、そっとのぞき込むと釣り人ではないようです。

秘密の花園・フライフィッシング

この渓は、タカハヤ、ヤマメ、??!!!がつれるところです。水が少ないので音を立てないよう慎重に上っていきます。去年の大水のせいか一昨年とすっかり様子が変わってしまいましたが、小さな渓にしては大きなプールが連続するようになっています。でも、渓魚がつれません、タカハヤすらつれません、やっぱり釣り人だったのかなと少々落胆しますが、毛鉤の流下テストが出来ればいいかと気を取り直し、つりに専念します。最初の滝までやってきましたが渓魚は姿を見せてくれません、途中に足跡もないので、昨年の大水に渓魚がすべて流されたのかなと、また不安になっていきます。

中間点の少し下のいつもいい思いをする小さなプールまでやってきました。ここは以前なら大きな??!!!が定位しているところです。でも姿が見えません、白泡に毛鉤を落とし流れに乗せます、渓魚が姿をを見せてくれます。でも感触が違います、小さなヤマメが釣れました。

秘密の花園・フライフィッシング

中間点にやってきました。ここは、少しよどんだプールにたくさんのタカハヤがいました。週末になると、おじいさんがやってきて餌を与えていました。おじいさんとお話をする機会がありましたが、おじいさんがやってくるとタカハヤが寄ってくるそうです。夏場水温が上がり環境が悪化する時には、上流の流れを少しだけ替えて新しい水が流れ込むようにしていると言ってました。いつの間にかタカハヤのことが家族のように思えてきたそうです。でもある日、釣り人がワカサギだと言っていっぱい持って帰ったそうです。おじいさんは、私の渓魚じゃないから釣ってもいいけど、必要以上に持って帰らないでと訴えていました。

おじいさんとの思いでのプールは無くなっていました。

秘密の花園・フライフィッシング

ここからは、小さなポケットが階段状に続きます。小さなポケットの白泡の反転流に毛鉤を乗せます、くるくると何度か回っていると渓魚が姿を見せてくれます、ヤマメとは感触が違います、綱引きをしているようです、小さな??!!!がつれました。思った通りに毛鉤が流れ、思った通りに??!!!がつれて大満足です、意気揚々です、鼻高々です。

秘密の花園・フライフィッシング

階段状を登り、大きなプールが連続するところにやってきます、ここはヤマメの場所です。小さな渓にしては大きなヤマメがいるところです。2段目で小さなヤマメが釣れ、この部分の最後で最大のプールにやってきます。このプールは、以前私がつったタカハヤに襲いかかったとても大きな渓魚を見たこともあるところですが、大きな倒木がプールに覆い被さっています。何とか毛鉤を放り込むと、少し大きな渓魚がゆっくりと姿を現し、ゆっくりと毛鉤を吸い込んでくれました。まだ、サビが残ってやせていますが、とても元気なヤマメです

秘密の花園・フライフィッシング

この先は、??!!!の世界です、小さなポッケトを丹念に釣り上がります。小さなポッケトの白泡の下から??!!!が姿を見せます。以前は尺を越えるヤツがいっぱいいましたが最近はほとんどつれません。登山の人が多く通るようになってから渓魚の姿が見えなくなってしまいました。さっきのヤツとほぼ同じサイズです、なんだかホッとしてきました。

秘密の花園・フライフィッシング

少し薮がうるさくなってきましたが、調子に乗ってどんどん釣り上がります。途中足跡がありますが渓を上っていないようです、登山者が水辺で休憩したようです。この渓最大の2段滝を慎重に越え、小さなプールが連続するところにやってきます。

程なく??!!!がつれます、背中の虫食い模様がとても懐かしく思えます。

秘密の花園・フライフィッシング

また滝があります。この滝は小さいけれどスラブ状で、何度も滑落したことがある滝です。慎重にのっこし、少し傾斜のおちた渓を登山道と何度も交差しながら釣り上がります、また??!!!がつれます。

そろそろ、大きな渓魚をつりたくなります。以前この付近には、とても大きな??!!!がいました、40cmを越えるヤツもいました。最近はすっかりいなくなりましたが、ついつい欲が出ます。最後の望みを小さなプールにかけますが、うまくいくわけありません。気が付くと、あたりが薄暗くなってきました、山を下りる時間です、今日はここでおしまいにします。

秘密の花園・フライフィッシング

いったいどうして、こんなところに??!!!がいるかは不明で、大きな渓魚もいなくなりました。でも、小さいけれど元気な同じサイズのヤツがいると言うことはこの渓で自然に繁殖が行われている証拠です。

とても幸せな気分になりました。山と小さな渓の地力に感謝しながらすがすがしい初夏の山を下ります。途中白い花が日暮れにぼんやり浮かんでいました。

小さな渓魚がつれるのは、良い渓の証拠です。