酒は、赤いのや辛い白だけじゃないだろうが。
昨年、勝沼から送って頂いた新酒に味をしめた悪魔の手下が怒り出します。一念発起し、赤いのや、辛い白だけでなく、甘い白や、薔薇色の少し甘いものを発注し悪魔に捧げるしかありません。
昨年の注文に加え、白の甘口、ロゼを発注したと悪魔に連絡です。
2017年11月04日
悪魔は、到着の日も定かでないまま勝沼新酒解禁日大宴会を今日に決定し勝沼葡萄教信者どもに連絡してしまいます。
酒だけでは物足りない悪魔の手下は、酒には肉や珍味が必要だ、と無理難題もふっかけます。
大宴会の前に怒りを静めなければ大事です。
先日、鹿川の猟師さんが仕留めた鹿のフィレ肉、林業家が採取した和蜂の蜂蜜、お姉さん達が山中飛び回りやっとこさこさえた板屋楓のメープルシロップを奉納することにします。
悪魔の怒りは静まったようです。
2017勝沼新酒解禁日大宴会
開店前に、ご機嫌をお伺いし、信者や大酒飲みの手下見習達への酒配給量を協議しなければなりません。
まずは、お怒りの原因となった甘い白を開け、厳かにコップに注ぎます。
一口含むと、軽い渋みが広がります。あの、まだ少し若い緑の葡萄の爽やかな渋みと樹木の薫りです。
悪魔の手下は無言です。コップをテーブルに置き鹿肉の調理法を協議します。
何気なく二口目を含むと、大変です。爽やかな渋みのなかに成熟した緑の葡萄の微かな甘みと薫りがたってきます。瓶とコップの中の葡萄がカウンターの上で熟していきます。
当然、協議は中止しコップに集中です。
開店時間もわすれコップに集中しすぎたのか、気がつくと一升瓶が半分弱空いてしまいます。
さて、少し落ち着いたので鹿肉を調理することにします。悪魔の手下が色々と考えた末に辿り着いた方法ですることになりました。
素朴な食材の素朴な調理
オリーブオイルで短時間マリネ、ごく少量の塩、胡椒をなじませ、フライパンで焦げ目を付け、後は弱火で放置することに決定し、時間に余裕をつくりだしたようです。再び、悪魔の手下はコップに集中です。
お店を開け、薔薇色を開けることにします。橙色を溶かし込んだ淡い桃のような薔薇色の酒を開けてみます。赤い葡萄の爽やかで微かな甘みが体に広がっていきます。
肉も焼けたので、皿に取り余熱をまわします。冷めたところで、切り分け蜂蜜とメープルシロップで頂くことにします。
淡い檸檬色の蜂蜜と、深い琥珀色のシロップが、絶妙に火が入った少し控えめの鹿肉を華やかに変えていきます。
赤い酒も開けてしまいます、しっかりとした薫りと味が肉に負けていません。信者や、大酒飲みの手下見習がやって来るのもお構いなしに二人ドンドン飲みます。
信者達がやってくる頃には、四種類合わせ一升瓶三本分が粗方空になってしまいます。お店の商品を飲んでしまえば背任行為です。